ICCについての質問の続きです。
ICCの裁判傍聴は私たち一般人もできるのですか?
いつでもできます。ハーグに来ていただくことも、WEBで見ることも。ICCのWEBでの発信に注目してください。
どのようなことをきっかけにICCに勤めようと思ったのですか?
上司から、ICCの裁判官に立候補せよと勧誘された時。
どのようにしてICCの所長は任命されるのですか?
3年毎に行われる裁判官(18名)による互選で決まります。
赤根さんはご自身が所長として選出された要因はどこにあるとお考えですか。
日本という法の支配を信奉する国の出身者。できるだけ、協調的に仕事を進めようとする態度、でしょうか?他の人による選挙なので、詳しくはわかりません。
日本は国連ではさほど発言力を持っていないのにかかわらず、どうして日本人の赤根さんが所長になることができたのですか?
上記のとおり。国連での発信力があまりないかどうか、私の選出と関係あるかどうかについては、私の知るところではないです。
ICCの課題として、その捜査・訴追対象の地域的偏りが指摘されておりますが、赤根さん個人、もしくはICCとして、なにかその課題解決のためにご尽力されていることはありますか?
多くは、それらの地域、国では、自分たちではそれらの訴追能力がない、あるいはやる気がないとみなされる場合に、その国ないし、他の国からその地域の事件をICCに付託する(委託するような手続き)がなされるからで、ICCの偏った意図によるものではありませんし、近頃では、アフリカだけでなく、アジア、ラテンアメリカ、東ヨーロッパの地域にも、ICCによす捜査・訴追の動きが出てきていますので、そうしたご指摘自体が今や古いものになりつつあります。
コア・クライムの被害者の方とも接することがある場合は、どのようにして、その方々の救済と裁判所としての中立性・公平性とを考慮しているのか。
裁判はまず被告人が有罪かどうかを決め、それからその被告人に被害を受けた人たちの範囲や被害を決める手続きに入るので、先にこの被害者を助けたいという予断が生じる危険は少ないです。相互に緊張関係は有りません。常に中立・公平な裁判に心がけています。
刑罰は何を基準に決めているか教えてほしいです。
個々の犯罪の重大性や被告人のそれに果たした役割が大きいです。他に後で反省の態度を示しているかなどの要素も加味されます。
有罪判決のあと、罰金や被害者に充てられる保証金は被告人にとって膨大な額であること、被害者賠償基金がICCの活動の柱の1つであることから、被告人の賠償をICCから出すと聞いたことがあります。被害者に支援や賠償が行くのは分かりますが、加害者が払うことに罪の償いの要素があるのではないでしょうか?ICCがそれを肩代わりしてしまうことに意味はあるのですか?それとも一連の事件が有罪判決で締めくくられることに意味があるのですか?
おっしゃるとおりで、本来は有罪になった被告人が支払うべきものですが、多くの元被告人には経済力がありません。それでは被害者たちが何らの救済も受けられないので、賠償制度を作っています。もちろん、それが最上の方法とは言えませんが、その趣旨に賛同する多くの国や人の寄付金によってその賠償がなされます。多くの被害者にとっては、まずは有罪になることに意味がありますが、被害者への賠償は、かりに金額が十分でなくても、自分たちが認められたという前を向く力につながっていると思います。
ローマ規程に加盟しているにも関わらず、逮捕や捜査に協力せず「非協力」と認定されてしまった国がその後ICCと良好な協力関係を再構築するには、加盟国自身そしてICCはどのように行動するのが良いのでしょうか。
ICCの裁判部から非協力という認定をされて、それが締約国会議の場などに送られてしまうと、その締約国は他の締約国との関係では面目丸つぶれで、非常に苦しい弁解をしなくてはならなくなります。国内裁判所によって、ICCに従わなかったのは違法と決めつけられ、国内的にも問題になってしまった国もあります。したがって、彼らも次にそのようなことが起きないようにと国内法を見直したり、ICCに対して、これからも協力します、と申し出てくるのが普通です。ですから、一見実効性がない、意味がない、というふうに考えるよりは複雑なものです。法の支配というのは、そう簡単にすべての国に浸透するわけではないけれど、みんなの努力で徐々に作り上げていくものだと思っています。
ICCに日本人職員を増やしたいか。その場合、必要なことは何でしょうか
まず、興味を持ってくれる人を増やすこと、そういう人たちが増えてくれば、その中でICCの職員を目指す人が増える、そして、やがて職員も増えていくということだと思います。そのためには本当に多くの時間を費やして、ICCの本当の姿を伝えていくのが重要なことであると思います。
法の支配をより実効的なものにするためにどのような法以外の役割やアプローチが特に重要だとお考えですか。
まずは、ICCが実務を積み上げて、実際にやっていることが国際社会の中で重大な犯罪を裁いて、何とか不処罰の文化を減らしていくことだと知ってもらうこと、地道な努力の積み上げであると思っています。
ICCが今後最も改善すべき点は何だと思いますか。
それはたくさんあります。捜査のやり方についての改善、裁判の迅速化、効率化、も重要です。また、どんな事件をどのように裁いているかを多くの人に知ってもらうための広報も重要で、さらなる改善が必要です。
将来、ICCの役割はどのように変化していくと考えていますか。
これは、本当にこれからのICCを取り巻く環境にもよりますし、ICCや締約国の努力にもよるので、明確には言えません。例えば、さらに多くの事件をやるのか、もっと選択的に事件を絞ってそれらの取り組んでいくのか、など、多くの課題があると思います。信頼され、頼りにされる裁判所にしていくことが重要だと思います。
ICCが目指す未来とは何ですか。
戦争犯罪などICCがターゲットとするような犯罪がこの世から無くなること。非常に難しいが、無理だと諦めないで、これを目指すことですね。
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