連続憲法講座「国際刑事裁判所って何だろう?~赤根智子所長に聞いてみよう~」学生参加レポート【前編】

2025年8月2日、愛知県弁護士会館(愛知県名古屋市)にて「国際刑事裁判所ってなんだろう?~赤根智子所長に聞いてみよう~」というイベントが開催されました! このレポートではイベントの様子と参加した学生へのインタビューをお届けします!

1.ICCとは?

国際刑事裁判所(ICC)は、オランダ・ハーグに本部を置く国際機関です。ICCは、国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪、すなわち集団殺害犯罪(ジェノサイド)、人道に対する犯罪、戦争犯罪、侵略犯罪の4つの犯罪(コアクライム)について管轄を持ちます(ICC規程5条1項)。
そしてICCは、これらのコアクライムを行った個人の刑事責任を追及する常設の国際機関です。補完性の原則に基づいて、各国が自国の刑法では対応できない、あるいは対応しようとしないときに登場しますが、その姿はさながら戦争やジェノサイドに対して正義を貫いて世界の秩序を維持する番人とも言えるでしょう。
そんな「正義の番人」であるICCの所長を務めていらっしゃるのが、日本人の赤根智子氏です。赤根氏は愛知県名古屋市出身。かつては名古屋大学法科大学院で、教鞭をとられていたこともある方です。今回のイベントは、法科大学院の教え子であり現在は弁護士や検察官、裁判官として活動されている方々が、2025年3月にオランダ・ハーグのICC本部を訪問したことをきっかけに開催されたそうです。

2.イベント参加レポート

▲会場の様子。会場だけでなくウェビナーでも中継され、多くの人が参加したそう。

イベントでは、赤根先生の登壇に先立って第一部としてICCの基本的な知識や役割について、クイズ形式で学ぶことができました。「ICCって何をするところなの?」、「何についての裁判を担当しているの?」、「どんな事件があるの?」など、普段の生活ではあまり強く意識することの無いICCの仕事や組織、これからの国際社会のために果たせる役割などを、3月に行われたICC訪問の写真やエピソードも交えながら楽しく学ぶことができました。

▲オンラインで登壇された赤根智子国際刑事裁判所判事・所長。

第2部では、ついにオンラインで赤根智子氏が登壇。ICCが直面している問題と、これからのビジョンについてお話をいただきました。
いま世界では、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとパレスチナの武力衝突など、平和を脅かすだけでなく人道危機に瀕する事態が発生しています。ICCは、正義の番人としてこれまでに、ロシアのプーチン大統領やイスラエルのネタニヤフ首相などに逮捕状を出していますが、ロシアやアメリカといった大国はその対抗措置として、赤根氏をはじめとするICCの職員に逮捕状を出したり、経済制裁を加えたりしています。
これらの行為は、明確な国際法違反であり、国際司法を捻じ曲げかねないものということはいうまでもありません。しかし、大国を前にどの国も名指しでアメリカを批判しようとしていないというのが現状です。ICCを守り、国際的な秩序を守るには、ICCが直面しているこういった状況を知り、支援していくことが必要なのです。
赤根氏は、「未来に向かって、若い人に期待したいです。日本人には、能力も意欲もあるし、もっと自信をもってもらいたいと常々思っています。」と私たち若い世代へのエールを送られていました。

▲参加者からの質問に答える赤根氏。

第3部では、会場やウェビナーの参加者から集めた質問に赤根氏が解答されていました。
質問では、「ICCの所長はどのくらいお給料をもらえるのか?」という質問から、「ICCでは、公訴提起から判決までかなりの時間がかかっているとの話だったが、日本の『人質司法』のように問題視されることはないのか?」という質問まで、さまざまな質問が挙げられていました。
自分一人で考えているだけでは思いつかないような質問を通して、より理解を深めることができました。

JIRoL学生メンバー

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